第一生命ホールディングス株式会社は、2026年4月1日に株式会社第一ライフグループへ商号を変更しました。この記事のURLは旧称を残していますが、現在の持株会社名は第一ライフグループです。

転職判断でもう一つ重要なのが法人の違いです。今回比較するAIガバナンスとサイバーセキュリティは、持株会社ではなく第一生命保険株式会社の正社員求人です。持株会社の平均年間給与1,142万6,000円、第一生命保険の平均517万円、個別求人の提示額を同じ数字として扱わないことが出発点です。

2求人は、AI利用の統制を作るか、サイバーリスクへ備えるか

比較項目AIガバナンスマネージャーサイバーセキュリティ
雇用主第一生命保険株式会社第一生命保険株式会社
雇用形態正社員・期間の定めなし。試用3か月、最大6か月まで延長あり正社員・期間の定めなし。試用3か月、最大6か月まで延長あり
仕事の中心AIガバナンスの枠組みと評価の仕組みを策定し、プロセス実装とツール導入をIT関係者と検討・推進リスク情報、攻撃対策、脆弱性・脅威、インシデント、教育・方針、国内外グループ支援
必須条件の軸関連分野の学士号、AI関連3年以上、説明・協働、チーム・時間管理、Excel・PowerPoint、日本語と一定レベルの英語CSIRT、NIST CSF、金融・コンサル、IT開発・PM、システムリスク、MS Office等から複数充足が望ましい
歓迎条件プロジェクト推進能力、AIリスク・ガバナンスの枠組みに関する知識関連学位・資格、情報セキュリティ管理、サイバー技術、インフラ管理、クラウド評価、日英の言語能力等
初期勤務地有楽町と豊洲の2拠点有楽町
職務変更範囲企画立案、折衝調整、コンサルティング、事務、管理等の業務全般企画立案、折衝調整、コンサルティング、事務、管理等の業務全般
勤務地変更範囲G型は国内外・転居あり。R型・A型は通勤圏。適用区分は要確認G型は国内外・転居あり。R型・A型は通勤圏。適用区分は要確認
数値給与情報なし。応相談情報なし。応相談

AIガバナンスは、モデルを自ら開発することだけが目的ではありません。この求人で確認できるのは、AIガバナンスの枠組みと評価の仕組みを策定し、プロセスの実装やツールの導入をIT関係者と検討・推進し、国内外の関係者へ説明する仕事です。AI利用の承認権限や導入後の運用監視をこの職種がどこまで担うかは、求人本文だけでは決まりません。

サイバー職は、個別のセキュリティ製品運用に閉じません。脅威を把握し、対策を導入し、インシデントを監督し、経営へ説明し、グループ各社の態勢を支援します。同じ「ガバナンス」でも、AI利用の判断枠組みとサイバー有事への備えでは、扱う証拠と意思決定が違います。

持株会社と第一生命保険は、同じグループでも役割が違う

第一ライフグループは保険持株会社です。グループの報告区分は国内保険事業、海外保険事業、その他事業に分かれます。

| 区分 | 主な仕事との接点 | 雇用を読むときの注意 | | --- | --- | --- | | 国内保険事業 | 国内の保険商品、募集、契約管理、支払、運用、IT | 第一生命保険などの事業会社を含み、持株会社と同一法人ではない | | 海外保険事業 | 海外保険会社の事業運営、リスク、グループ連携 | 国・法人ごとに制度、雇用、職務が異なる | | その他事業 | 持株会社機能、資産運用、福利厚生関連等 | 持株会社の従業員はこの区分に属する |

求人に「グループ全体」とあっても、それだけで持株会社雇用にはなりません。AI・サイバーの2求人は、第一生命保険と雇用契約を結びながら、持株会社部門や国内外グループと働く想定です。選考では、所属、兼務・出向、評価者、意思決定者を確認します。

1,142万6,000円は、期末時点の持株会社702人の平均

2026年3月31日時点の持株会社は、旧商号の第一生命ホールディングス株式会社です。従業員702人、平均年齢39歳1か月、平均勤続10年11か月、平均年間給与1,142万6,000円でした。賞与と基準外賃金を含みます。

この702人は全員、その他事業に属します。次の平均ではありません。

  • グループ連結60,138人
  • 国内保険事業48,222人
  • 第一生命保険の全社員
  • AI・サイバーなどIT・デジタル職
  • 中途入社者、初年度、個別オファー

商号は翌日の2026年4月1日に変わりました。平均給与は、基準日の2026年3月31日時点で使われていた旧社名の開示として扱います。

517万円は、第一生命保険46,447人の別平均

同じ2026年3月31日時点で、第一生命保険は従業員46,447人、平均年齢47歳0か月、平均勤続12年3か月、平均年間給与517万円です。こちらも賞与と基準外賃金を含みます。

第一生命保険には内勤職と、営業を担う生涯設計デザイナーを中心とした職員が含まれ、給与体系が異なります。定型業務を担う職掌や、勤続年数が浅い営業職員を含む母集団であることも、持株会社平均との差に影響します。

したがって517万円も、次の数字にはできません。

  • AIガバナンスまたはサイバー職の平均
  • 中途採用者の標準年収
  • 入社時の下限・上限
  • 持株会社から第一生命保険へ移った場合の差額

会社平均同士を引き算しても、同じ職務・等級の法人間差にはなりません。

応相談の2求人は、条件提示まで給与順位を付けない

2求人の給与は応相談で、数値の下限・上限、基本給、賞与、手当は掲載されていません。持株会社平均または第一生命保険平均から推定すると、母集団も職位も違う数字を個人へ当てはめることになります。

条件提示では、少なくとも次を分けます。

  • 雇用法人、採用職位・等級、管理職該当性
  • 基本給、賞与の標準前提、初年度の算定期間
  • 時間外手当、専門職手当、株式報酬等の適用
  • 期待する国内外グループの範囲と意思決定権限
  • 現在の給与関連書類を選考中に求める場合の利用目的

数字が出るまでは、仕事内容と応募要件で候補を絞り、給与比較は保留します。

AIガバナンスは、ルールを作るだけでなく実装まで進める

AIガバナンス求人が求めるのは、AI関連領域で3年以上働き、幅広い関係者を動かせる人です。関連分野の学士号、ネイティブレベルの日本語、一定レベルの英語に加え、Excel・PowerPointでの分析と可視化・説明も必須です。プロジェクト推進能力と、AIリスク・ガバナンスの枠組みに関する知識は歓迎要件であり、必須条件とは分けて読みます。

成果物は方針文書だけではありません。AIガバナンスの枠組みと評価の仕組みを策定し、プロセスの実装や必要なツールの導入をIT関係者と検討し、役員・上級管理職へ複雑な内容を説明します。職務経歴書では次を一つの案件で示します。

  1. どのAI利用を対象にし、どんなリスクを定義したか
  2. 法務・リスク・事業・開発と何を合意したか
  3. 枠組みと評価の仕組みをどう策定し、プロセスやツールへ落としたか
  4. 複雑な内容を役員・上級管理職へどう説明したか
  5. 国内外で要件が違う場合に何を共通化したか

モデル開発だけを続けたい人より、技術と規制・事業の間で判断枠組みを定着させたい人に近い求人です。AI利用の承認権限、導入後の運用監視、例外時の停止・改善判断は、面接でこの職種の担当範囲と決裁者を確認します。

サイバー職は、複数経験をどう組み合わせるかが焦点

サイバー求人の必須欄には、CSIRT、NIST Cybersecurity Framework、金融・コンサルティング、IT開発全工程とPM、システムリスク、資料・プレゼンなどが並びます。すべてを満たす必要はありませんが、複数を満たすことが望ましいとされています。

関連分野の学位・資格、3年以上の情報セキュリティ管理・サイバー技術・インフラ管理、クラウドのセキュリティ評価、日英の言語能力等は歓迎条件です。これらを必須条件の代わりにはせず、まず必須欄で自分が満たす経験の組み合わせを示します。

応募前に、自分の組み合わせを具体化します。

  • インシデント対応と経営報告
  • 脆弱性・脅威情報と対策導入
  • システムリスク評価と開発・変更管理
  • 国内外拠点、委託先、事業部門との統制
  • 教育・訓練、方針、指標の整備

「セキュリティ経験あり」では範囲が広すぎます。平時の統制と有事の対応のどちらを主導し、どの権限で改善を進めたかを示します。面接では、採用ポストの主担当領域、CSIRT・SOC等との分担、インシデント時の当番と指揮、海外対応の頻度を聞きます。

G型・R型・A型で、転居・異動の範囲が変わる

2求人は、勤務地変更範囲を三つの勤務地区分で示します。G型は国内外の本社・支社・グループ会社を含み、転居を伴う転勤があります。R型・A型は自宅から通える範囲で、原則として転居を伴いません。

一方、求人本文は採用時の区分を確定していません。AI求人の有楽町・豊洲、サイバー求人の有楽町は初期勤務地であり、長期固定の保証ではありません。職務変更範囲も企画、調整、コンサルティング、事務、管理等へ広く設定されています。

選考で確認する順序は次の通りです。

  1. 採用予定区分と、希望区分を選べる時点
  2. 初期所属、兼務・出向、評価者
  3. 区分変更と本人同意の扱い
  4. 通常の出社・在宅、海外会議、出張
  5. 障害・インシデント時の時間外・休日対応

勤務地固定が必須なら、区分が書面で確定するまで応募順位を上げません。

AIの利用判断か、サイバー有事まで含む防御か

AIガバナンスを選びやすいのは、AI関連3年以上の経験をもとに、枠組みと評価の仕組みを策定し、プロセス実装とツール導入を国内外の関係者と進められる人です。関連学士、日本語、英語の条件も先に確認します。承認権限と導入後の運用監視は、役割の境界を面接で確かめます。

サイバー職を選びやすいのは、CSIRT、システムリスク、開発・PM、統制等の複数経験を組み合わせ、平時の態勢整備からインシデントの監督まで広げたい人です。

数値給与、勤務地区分、在宅頻度、当番を応募前に確定したい人は、回答がそろうまで保留します。二つの会社平均を個別条件の代わりにしません。

生命保険業界の仕事へ戻ると、商品・数理、募集、契約・支払、運用・リスク、IT・統制のどこを選ぶかを並べ直せます。今回の2求人は雇用主が共通です。AI利用の判断枠組みを作るか、サイバーリスクへ備えるかで候補を分けてください。