まるみワークス編集部でITキャリアを担当しているマナです。この記事は、公開された個人の体験記と厚生労働省の職業情報をもとに整理したものです。編集部自身がSIerまたは事業会社で働いた体験ではありません。体験記は一人の回顧であり、すべての転職に当てはまる結論ではありません。
結論:会社の区分ではなく、入社後に担う仕事を比較する
「SIerから事業会社へ行けば後悔しない」あるいは「一律に後悔する」とは言えません。同じ事業会社でも、内製開発の範囲、プロダクトの成熟度、チームの人数、ベンダーとの役割分担は異なります。転職先の会社区分だけで期待を決めず、入社後に自分が担う工程と、意思決定の範囲を確認することが大切です。
厚生労働省のjob tagは、基盤システムのシステムエンジニアの仕事として、要件定義、設計、構築、運用後の不具合対応などを案内しています [2]。実際にどこまでを担当できるかは求人や組織で異なるため、職種名ではなく、各工程の比重を面接で確かめる必要があります。
公開された後悔談は一人の経験として読む
Qiitaには、筆者がSIerから事業会社へ転職した実体験をもとに、後悔しないための注意点を記した公開記事があります [1]。この記事で述べられる難しさや注意点は、その筆者の転職先、担当業務、期待していた働き方に結び付いた個人の回顧です。
したがって、この体験記を「事業会社は合わない」という一般論の根拠にはできません。反対に、転職を成功させるための万能な手順としても扱えません。自分の条件と似ている部分、異なる部分を分けて読み、求人票や選考中の説明と照合する材料にするのが適切です [1]。
後悔につながりやすい期待のずれを確認する
顧客が変わっても、調整業務がなくなるとは限らない
事業会社では社外顧客への納品よりも、自社内の部署や事業部と調整する仕事が増える場合があります。利用者に近い仕事をしたいという希望があっても、要望の整理、優先順位付け、合意形成が少なくなるとは限りません。誰と合意を作るのか、要件を決める人は誰かを確認しましょう。
開発に関われる範囲は会社ごとに違う
内製開発を掲げていても、実装、設計、ベンダー管理、運用保守の割合は組織により異なります。job tagが示すように、システムエンジニアの仕事は複数の工程にまたがります [2]。実装経験を増やしたいなら、入社直後の担当工程、コードレビューの有無、外部委託の範囲を具体的に尋ねることが重要です。
事業への近さは、意思決定権と同じではない
プロダクトやサービスに近い環境でも、予算、人員、リリース優先順位を個人で決められるとは限りません。どの会議で誰が決めるのか、エンジニアが利用データや顧客の声にアクセスできるのかを確認すると、期待している関わり方との差を把握しやすくなります。
選考で確認したい質問
- 入社直後に主担当となる工程と、チーム内の役割分担
- 内製と外部委託の範囲、ベンダー管理が占める割合
- 要件の優先順位を決める担当者と、変更時の合意手順
- 障害対応、オンコール、リリース時の勤務体制
- 配属先が扱うプロダクト・業務システムの利用者と改善の進め方
これらの質問への回答は、採用時点の情報であり将来を保証するものではありません。それでも、仕事内容を抽象的な「事業会社らしさ」で捉えるより、転職後の業務を具体的に比較する材料になります。
まとめ
SIerから事業会社への転職に関する公開体験談は、期待と実態のずれを考える一つの材料になります [1]。ただし今回確認した体験記は一人の回顧です。後悔の有無を一般化せず、担当工程、内製範囲、意思決定、勤務体制を求人と選考の場で確認して、自分の希望と比較してください [2]。
